貧弱なニヒリズム

もうドラマはいらないと貧弱なニヒリズムで笑っている
残された皿1枚に心のほうが反応している
今君が幸せになるようにと願っている
誰にでもある頭痛と笑ってみても
痛みは自分のものでしかないことを今悟る
6年ぶりに吸う煙草がひどく体にしみる
君の写真を撮らなかったことに今気付いている
おまけでもらったいたわりの言葉に熱を感じる
こんな気持ちの夜にもSEXがしたくなる
人差し指の付け根を噛み締めて
抜いてない指輪が鼻に冷たく当たる
君は今頃西新宿の高層階で調教されている
僕は石川町に落ちていたラックを部屋に運んでいる
多分僕のほうが英語をうまく話せるはず
多分僕のほうが切ない歌を歌えるはずなのに
多分僕のほうがうまいギターを弾いてあげられるのに
多分僕のほうがおいしい中華料理を作ってあげられるのに
多分僕のほうが明日が見えないね
醜く膨れた腹には5枚の毛布が重過ぎる
来週歌ってあげたかった歌詞の主人公がいなくなる
真理が無い生き方をしているのに君が愛していた神に小銭を捧げている
もうドラマはいらないと思っているのに僕はドラマのような歌を愛している
柘榴の果汁のようなあなたの匂いを思い出して僕はさめざめと泣いている
あなたが嫌いだった不確実な今日を確実なものにしてもあなたは戻らない
不確実な僕を歌にしても僕は確実にはならない
あなたが指摘した貧弱なニヒリズムの矛盾で僕は生きている