今日一日の欠勤と引き換えに、
魔女に声を奪われたbtが帰宅した。
タイムトラベルに力を使い果たして、
迷い込んだこの町は、磁場が歪んでいる。
人々の姿形はどこか古めかしく
彼の30年前は私達の昨日の思い出。
黒く冷たいテーブルの上に
真っ白なカラーを一つ活けている
アンプの電池を六本交換しながら
人生の移り変わりに疲れ果てたbtの瞳が
指差す方向に穏やかな朝を見ている
先方見た鮮やかな悪夢が覚めないまま
見ている世界は映画そのもの。
あなたが演出したいのは
わたしが演出するのと同じ
脳に暗記されたＡ４サイズの教科書を広げて
私が病気だといえば、あなたもその通り病気になる
帰ってこない彼をいつまでも待っている
人々からにじみ出る魂の色は、
昨夜見ていた鮮やかな夢と変わらない光景
モザイク水槽の小瀬魚が２匹
笑いながら世界を見つめている
