夢がかなう10月


三重着。
現地に着くまで知らなかったんだけど、この連休はF1グランプリ開催日らしく、明らかに過疎った感じの駅に人が溢れてアルタ前みたいだった。
そのまま乗り繋ぎ温泉を満喫。貸切露天風呂で見上げる青空がゆっくり流れていた。


大学時代の恩師と二人、真っ赤なシトロエンに乗って伊勢神宮。外宮で挨拶をして、五十鈴川で手を清め、建て替え中の内宮をくるくる。温泉以上に気が抜けて、フニャフニャになって気持ち良かった。赤福食べて松阪牛食べて、天高く鳥肥ゆる秋。ブクブク。




年月が経った後に人に会うと、相手との関係性や関わり合う感じは変わらなくて、ただ過ぎた時間が浮かび上がる。それは感覚的なもので、相手が過ごした時間を私の時間のものさしに当て嵌めて、過ぎ去った時間を私の桁と合わせて掴み取ることで、改めて過去を認識してく。でも目の前に居る人と私は今現在を生きているので、刻々と新しい時間を更新する事ができる。あなたがいる、私の今の時間、今の章、今の頁。



誰かとお話していると、その人の小説を読んでいるようで面白い。相手の心の底に落ちてる文庫本を拾い上げ、読み進める。相手が主人公のフィクションみたいなノンフィクション小説。小冊子をくれる人、雑誌の人、新書の人、他人の歴史小説ばかり読ませてくれる人。あなたと話がしたい。過ぎていく時間の中で、人の心は記憶を熟成させる。戻れない過去、戻れない、あの頃の私。


大好きな友部正人の『夢がかなう10月』ってアルバムがあるんだけど、私は多分このアルバムの曲が一番好き。『♪10月である〜』ってあの歌思い出すだけで笑顔になれる。色々あったけど、今は今で楽しい。穏やかな日差しの中、そんな一日だった。