アイスコーヒーに沈むはちみつのかたまり


なるだけ予定を入れないように、というこどもの日は朝から片づけをしていた。
tgにとっては唯一の休みの日であとはみんなみっちり予定が詰まってる。
夜は久々にコンテのクラスに行って動かない体をブンブン振り回すので精一杯。
やっぱりくしゃみをして先生が「久々に聞いたーっ」って笑っていた。
"so damn beautiful, you are so wonderful"
何度つぶやきながら床に潜り込んでいたんだろう
心を腫らしながらあの頃はもう少しまだ体が柔らかかった


夜は「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))」を観に行く。
ゴジラが明け方まで強制労働に駆り出される歌舞伎町は蘇州で見たイズミヤみたいな様相だった。
バードマンの撮影手法のことを句読点のない文章を書くようなものだって監督か脚本家が言ってたけどその通りの気がした。
色々な解釈があるのだろうけど、ワンカット撮影が終わった最後のシーンはやっぱり彼が勝手に描いた夢のおはなしなんだろう
演劇評論家が絶賛する舞台上のスーパーリアリティー、何もかもがうまくいくあらすじ
自分が死んでも娘はにっこり笑って空を見上げてくれるだろうなんて先に死んでく奴の勝手な妄想だ
シーン中に出てくる元妻も妄想、辛い時にふっと現れてくれる昔の妻
あの頃はああだったね、って、最後の記念日は酷いものだったね、って
本番頑張ってって励ましてくれる元妻は楽屋にはいない
過去の記憶、励ましてくれる妄想の産物、いつかよかったころの自分
あれは白砂糖か小麦と油の塊かマヨネーズのようなものだ
アイスコーヒーに沈むはちみつのかたまり
あれは脳が溶けるしとっても気持ちがよくてきっとやめられないんだろうな私も。