真夜中の貧乏

母親と父親が喧嘩するのは貧乏なせいだからだと思っていた
うちには子どもが4人もいるから貧乏なのだと思っていた
貧乏でも平穏な家庭にトラブルを運ぶ私は明らかに邪魔者だった
あの家を出る時、確かに私は貧乏を捨てたつもりだった
独りぼっちになっても、貧乏の子はやはり貧乏だった
勉強することなどこれっぽちもしなかったから何も知らぬ
お馬鹿な私はまた同居人にまで反抗しようとしている
私の反抗期はいったいいつ終わるのか
同居人の夕食のおにぎりは猫に囓られた
すれ違いの鶏肉のソテーは固まったまま宙に浮いている
同居人に捨てられることが今一番まんじゅう怖い
誰もが言う、私の話し方がおかしいと。
私は変わることをしなければこの家では生かしてもらえない
死にそうな私は友達に電話した
湘南新宿ラインは無情にも私を横浜へと遠ざけた
昨夜のすれ違いのあなたの声は優しくて
私はあの時選ぶ道を間違ったのだと一瞬だけ思った
こんな私でもそれでもあなたは優しく背中を押してくれた。
貧乏が押し寄せてくる、手持ちの資金は1000円とちょっと
これでどうやって給料日まで過ごす?
米さえ買えなかった私は無能な貧乏女だ
すれ違いざまの女のとんがった靴が笑う、おまえの靴は貧乏と
貧乏が押し寄せてくる、手持ちの資金は1000円とちょっと
同居人が去っていく夢を見る。何度も、何度も。
手を取り誰かと去っていく
悪夢で目を覚ます真夜中の徘徊
猫さえ眠りにつく3時10分
私は明日も満員電車に揺られて1時間40分
さあ明日からどうやって過ごそう
薬飲んで寝よう