仕事なんてさ

rottenlily2005-05-04

今日はバイトで8万円分かしわもちを売ってきた。バラ売りは完売、セットもあと少しで完売だった。惜しい。結構がんばったつもり。がんばったって適当にやったって8000円しかもらえない。長崎でのプリンターのHPのお姉さん時代と変わらない給料。日雇い派遣なんてこんなもんだ。それでも仕事はなぜか全力でする。なんかそういう性質らしい。


だから多分、卒業して初めての仕事はうまくいかなかったのだ。2004年9月。卒業して半年も経たぬうち。私は鬱で仕事を辞めさせられた。これは私の人生の中での一つの出来事だ。そのさいたまでの仕事を辞めてから、次の中野坂上での仕事に就くまで、私はモバイトで様々なバイトをした。ゴルフ場から競輪場まで、大学時代も色々バイトはしたけど、この無職の時期には実に色々な経験をさせてもらった。世の中がどんな風に動いているのか。人間がどういう風に動いているのか。どんな欲があって、お金が動いて、モノが動いて、そして人が動いて。客を見てたって面白い。五右衛門がスパッと物を切るように、世界の切り口が見えてくる。そうして私の知らない世界を、形得るかもしれない世界を、横目でちらちらと覗きながら、私は仕事していた。そう、日雇いで。今日だけ。だから誰もどこにもいない。私だけ。ある意味遊んでるよりずっと楽しい。こういうのをきっと人間観察っていうのかもしれない。


デモ・サンプリング・販売、接客の仕事は慣れてる。色々したからかもね。人間嫌いの私がなぜ接客業をできるのかというと、一つ理由がある。自分を空っぽにするのだ。自分をなくしてしまう。そこにコウモトユリナという人間はいない。接客のおねーさんがいるだけ。自分をからっぽにしてただ働き続ける。これは大学のレストランバーのリーダー時代にある人から学んだこと。


高校を卒業したばかりで、仕事など何もわからなかった私に多くの事を学ばせてくれたあるシェフがいる。いつも寡黙なシェフだった。彼は厳しかったけど、いっぱい怒られたけど、色んな事を学ばせてくれた。今でも胸に残る人。そう、仕事に自分らしさはいらない。働くということはどういうことなのか。私の23年の人生の中に、重要な2人のシェフがいる。どちらも凄い仕事をするんだ。


(仕事に自分らしさはいらない)
バーテンダーとか例外も勿論あるけどね。3年間のバーテン時代はそういう意味では自分らしさいっぱいの中で働かせてもらった。レストランバー時代に、ある日、系列店のバーテンさんから、バーテンにならないかって引き抜かれたんだ。あっさり採用。だけど私は、人間嫌い、話下手、人見知りすることをマスターに伝えた。そしたらマスターはこう言った。「そういうバーテンがいてもいいんじゃないの。」そうか。そう思った。そうして卒業するまでのバーテン生活が始まった。バーテン時代の話は沢山書ききれないほどある。週末の真夜中だけが、嫌な自分自身から解放される唯一の時間だった。バーテン時代の話はまたいつか書こう。


今の仕事では非常に楽をさせてもらっている。それに甘んじてはいけないと思っているが、さいたま時代の毒々しい毎日の解毒をしているようだ。仕事とは本来こんなものだと気づかされる。この特許事務所はそう簡単には辞めたくない。決して高くない給料、毎日の満員電車、長距離通勤、ストレス因子はいくらでもあろうが、決して自分からは辞めたりしない。責任の重い仕事なのだから。


これになりたい、とか、こんな仕事をしたい、とか、特に夢は無い。とりあえず働いていられればいいかなと思ってる。自分に合う仕事なんて結局働きだしても分からない。今はとりあえず、目の前の仕事をしている。今はとにかく演劇がしたいのだ。


今の私は、仕事にも、ストレスにも孤独にも不健康にも衝動にも人間関係にも負けたくないのだ。