日常

6時半起床、7時出勤。一つ目の列車も二つ目の電車も三つ目の地下鉄も満員電車。私は背広のサラリーマンみたいに荷物を網棚に乗せてipodをポケットにしまった。今日の選曲はもう10年も前のダンス・ミュージック。歌詞がいいからいつも聞いてる。電車のスピードと音楽のテンポと窓に流れる景色が一致した瞬間が最高。真面目に通勤していてもいい気になる。新川崎。流れる。流れる。Lyrics。Tempo。音、電車が揺れる音、誰も何も言わない。乗客たちは大人しく満員電車の中突っ立っている。私は押し潰されないように立っている。満員電車の中で日本経済新聞を広げるオヤジに眼を飛ばす。足の踏み場さえ無い満員電車。我慢すべきは100分間。私が持つ数少ないCDはほとんどipodに入れたから大丈夫。西大井。大崎が近い。目の前に座る禿げオヤジを見たくなくて目を瞑る。自己嫌悪の虫たちがわいわい騒ぎ出すからそれを抑えるように柔らかなあなたの肌を思い出して脳みその中に閉じこもる。恵比寿。渋谷が近い。文庫本さえ広げられない満員電車の中で、まるで畑に生えた野菜のように立っている。揺れる姿はお米に近い?いずれにしても私は今日本経済の一部。新宿。JRを降りる。丸の内線は嫌いじゃない。南阿佐ヶ谷時代からの通勤線。中野坂上、終点。おおっと、ここまでの片道交通費890円。一日1780円よ。何のためにこの仕事やってるのかわかんないけど今この仕事を辞めるわけにはいかないので、いくらかかってもこの生活は続けようかと思う。パフォーマーになる夢はどこへ行った?詩人の夢はどこに消えた?感情が分化したこのままじゃ、たぶん何も出来ないから、今はただ毎日訪れる日々をくり返してるだけ。繰り返してるだけ。繰り返してるだけ。