ナルシスの花束


5年前にちょっとした出来事があって失望して帰京し
数年ずっと現実を見ないようにしていた。
今回は心硬くして帰ってきた
色々したけど、やはり数日ではどうにもならない
長崎に住まないと駄目だ。
私はどうしてこんなに力が無いのだろう
他の人が当たり前にあっさりやっていることを
思い悩んで何もできない。力が欲しい。
家族の涙にも悲しい言葉にも
私は身勝手で、何もできない。
どうしたらいいの


長崎最終日。
今回の帰省は日程上誰にも会わなかったから
誰かに会えないかなってうろついたけど誰にも会えなかった
長崎の友達はみんな結婚して子供を二人も三人も産んでいる。
さっき祖母が、自分には曾孫が居ないと悲しそうに言った。
タクシーの運転手に色々言われたのだと言う。
いい人を見つけなさいとしきりに言う。
会社に男の人はおらんとかと言う。
結婚せんばなと言う。
私は何も返さなかった。


いつも帰省する度に浦島太郎状態で、タイムスリップしているようで
かつて住んでいた家は取り壊されていて
その町には子持ちの同級生が住んでいる


2/28で上京して10年
ここはもう、私が今を生活する場所ではなく、
かつて生活していた過去なんだなと思う。
久々にコンタクトをして
沢山タイムスリップして
タイムマシンを降りて
気づけば手のひらいっぱいに水仙の花束


明日、帰ろう。
東京へ、新宿へ、現在へ。
騒がしい音楽を聴きたいな。
エレクトロニカ聴きながら帰ろう
何も考えないで一錠飲んだら
もう少し命が延びそうだよ